●好きな作家

名前 解説
柴田錬三郎 高校時代に、片岡孝夫(片岡仁左衛門)の眠狂四郎のテレビシリーズの再放送を観て、見事にはまりました。そして原作を読んで更に・・・(^^;
主人公と、作者の屈折した性格(又は、「ひねくれ具合」ともいう。原作連載当時は、「ニヒル」と呼ばれていたそうです)が、僕の性格と見事に
合致しました。眠狂四郎も含めて、シバレン作品を読み返すと、今でも5秒で作品世界へ溶け込めます(^^;
市川雷蔵の映画シリーズのLDは、全巻持ってます。片岡孝夫のテレビシリーズは現在、ビデオ化、LD化、DVD化されていませんが、著作が
時代劇の再放送をするテレビ東京なので、ほぼ全話録画できました。円月殺法の最終話だけ、ビデオテープにカビが生えました(^^;
柴田錬三郎選集に載ってる田村正和との対談の中で正和が狂四郎のイメージ通りだと柴錬は言ってます。二人で膝突き合わせて写真に写って
ます。箱つきの大きい本です。港区の三田図書館で借りて読みました。最近まで田村正和は、2時間ドラマか舞台でしか眠狂四郎をやってない
と思っていたのですが、ずいぶん昔にテレビシリーズ↓があったんですね。田村正和のテレビシリーズも現在、ビデオ化、LD化、DVD化されて
いませんが、著作が時代劇の再放送はしないフジテレビ系列なので、今だに観たことがありません。P2Pでも探しているのですが(^^;

放映:関西テレビ放送 1972/10/03〜1973/3/27(全26話)
監督:田中徳三/井上昭
製作:東映

市川雷蔵の眠狂四郎シリーズの好きな女優:
殺法帖の扇町景子(改名履歴は川口のぶ→川口京子→扇町景子→川口のぶ。LDジャケット裏には役名を「歌吉」と記載されているが「蔦吉」
ではないか?)、真城千都世。円月斬りの浜田ゆう子、東京子。多情剣の若松和子。無頼剣の三木本賀代
スティーブン
キング
高校時代に読んで、繊細かつ新鮮な情景描写に、はまりました。特に、「クージョ」が面白かったです。
真夏の炎天下、狂犬病にかかった犬により、車へ閉じ込められた母子の恐怖を描いた作品です。
あらすじはこれだけなのですが、徐々に高まっていく恐怖で最後まで読者を惹きつける表現力には、感服します。
原題「ゴールデンボーイ」映画化名「スタンド・バイ・ミー」も好きです。
クライブ
バーカー
映画「ヘルレイザー」を観て、好きになりました。彼が監督もしたそうです。ちなみに登場人物である「魔導師」の影響を受けて、
ベルセルクの「ゴッドハンド」は、描かれたそうです。そして、「血の本」シリーズで見事にはまりました(^^;
最近、「不滅の愛」という長編を読んだのですが、正直いって途中で飽きました。彼は短編のほうがいいかも(^^;
御茶漬海苔 高校時代に読んでいた「ハロウィン」で、好きになりました。荒涼とした独特な背景バランスが、作品の恐怖感を盛り上げてます。
「惨劇館」のケビン伯爵とグルグルが好きです。凶行の被害者は凶行の加害者になる。狂気は連鎖するという因果律が好きです。
他にハロウィンで好きだったのは、「ダークキャット」の木村直巳作品と伊藤潤二作品です。ダークキャット単行本巻末の短編集も面白いです。
伊藤潤二 高校時代に読んでいた「ハロウィン」で、好きになりました。大正時代の少女漫画風な美少女キャラが好きです。「富江」シリーズが好きです。
劇場版「富江」のDVD、事前レンタルせずに買ってしまいました(^^;管野美穂は「富江」とイメージがピッタリだったのですが、やはり映像化は
無理ですね。テレ朝の「伊藤潤二ドラマシリーズ」しかり。月子が車で運んだ富江の首なし死体が立ちあがった後、いきなりボート乗り場に移る
流れは酷すぎます(^^;生きてるゴキブリを素手で掴んだり管野美穂もがんばってるんですが。でもわざと歌詞を聞き取りにくくしているテーマ
曲は好きです。


●手塚治虫

人間が生き物の生き死にを自由にしようなんておこがましいとは思わんかね(^^;

火の鳥
2772
愛のコスモゾーン
DVDは↓がカットされてるので完全と言うのは語弊があるかも
@ロックが目を負傷して叫ぶシーン Aオリジナルは、ラストでオルガが人間の女性として復活する時は裸だった
Bオルガ復活後、火の鳥からもらった星でゴドーとオルガのキスシーン Cクラックのゴドーとの賭けのシーン
Dゴドーがサルタに悩みを打ち明けるシーン
1980年の手塚治虫ファンクラブのファン大会で上映したものが見てみたい
虫プロから
世に出てきた
人達
芦田豊雄、荒木伸吾、川尻善昭、杉野昭夫、高橋良輔、出崎統、富野由悠季、安彦良和、りんたろう
ブラックジャック 文庫版の未収録エピソードは「血が止まらない」「しずむ女」「二人のジャン」「水頭症」「最後に残る者」「魔女裁判」「快楽の座」

オールカラー版は豪華版17巻として書いてある手塚公式↓をうのみにしてたよ。
http://ja-f.tezuka.co.jp/manga/backlist/hu12/
秋田書店↓を17巻にするみたいだね
http://www.akitashoten.co.jp/CGI/new/new_listput.cgi?key=syousai&isbn=099912

新書版でも雑誌発表順ではありません。新書版ですら結構順番グチャグチャなんですよ。で、その最大収録の新書版に限って未収録なのは
「指」「植物人間」「快楽の座」「金!金!金!」「不死鳥」「おとずれた思い出」「壁」「落下物」の8編です
「植物人間」に関しては、クレームがつくまでの単行本には掲載されています(初版〜14刷りぐらいまで?)
「指」は新書単行本20巻「刻印」に改変されていますが、内容がかなり異なります。この話はたぶん指が6本と言う奇形ネタの為に封印されたのでしょう(緑郎と言う名も指が六本、六朗からきてるとの記述あり)
「快楽の座」は脳改造と精神病患者の暴走というエピソード
「金!金!金!」は医師連盟の理事長選が金権腐敗を導いている点などが問題箇所かな?
「不死鳥」は火の鳥ネタなんですが、特に問題となる箇所はありません(しいて言えば「火の鳥」幻想を打ち砕いている点か?)
「おとずれた思い出」は「畸形嚢種」の続編です(新書24巻のパート2とは別物)が、これまた掲載見送りの理由がわかりません
「壁」も見送り理由がわからない作品なのですが、もしかしたら病気の記述が誤っているのかもしれません 「落下物」は単行本21巻「BJ病」の翌週掲載の続編なのですが、原子炉衛星の放射能汚染が「BJ病」の原因としています
尚、秋田書店新創刊のチャンピオンレッドには、上記未収録作品の一部が掲載されるそうです。


●士郎正宗

存在を初めて知ったのは、ブラックマジックM−66というOVAでした。滑らかな動画に衝撃を受けました。
そして、青心社というレアな出版社から出ている「アップルシード」を偶然みつけて、その描き込みと詰め込まれた膨大な
メカフェチデータ(^^;に感嘆しました。僕の知ってる作品をあげました。完全予約限定版なのにやたら売れ残っている、
有名な「ガンドレス」DVDをネタの為にも入手しようかな(^^;、と一瞬考えてやめました。最近の先生はイラストのほうがお忙しい様で。
僕としては、オリジナルの漫画を描いていてほしいのですが。先生の作品に刺激されて、これから生まれるであろう作品の為にも。

アップルシード ようやく4巻を、青心社から入手しました。これで全巻揃いましたが、まだ4巻だけ読んでません。昔のガイナからOVAがでています。
元傭兵の女とアンドロイド(プリアレオス)が都市国家オリンポスに移民してきてスワットになる、というお話です。あってるかな?(^^;
3DフルCG劇場版はあえてスルーします(^^;
ドミニオン 原作は持ってます。OVAシリーズは、持っていません。ミニ戦車警察と、猫型アンドロイド泥棒一味、ブアクのお話です。
あってるかな?(^^;
ブラックマジック
M−66
戦闘用アンドロイドが輸送中の事故で暴走し、ダミーターゲットだった設計者の孫娘を狙う、というお話です。
先生も参加されている為か、OVAで初めて、滑らかな動画に驚きました。
当時のOVAの作画で感嘆したのは、これと安彦良和監督の「アリオン」くらいです。
功殻機動隊 押井守監督の映画の原作です。お話は、全然違いますが(^^;
仙術超攻殻
ORION
科学と魔術が、混在している世界のお話です。世界観は、「星方武侠アウトロースター」が似ていると思います。
あらすじについては、コミックが手元にないので書けません(^^;


●出崎統

ご存じのかたもおられると思いますが、止め絵で有名な監督です。監督作品で僕の好きなものを挙げました。
『宝島』『白鯨伝説』『華星夜曲』『修羅之介斬魔劍 死鎌紋の男』が入ってませんがまだ観てないので。
『エースをねらえ!』『スペースコブラ』『家なき子』が入ってませんが、あまり原作が好きではないので(^^;
他にもOVAとかハム太郎とエロゲーの劇場版とか雪の女王とかありますがあえてスルーします。次回作に期待ということで(^^;

あしたのジョー これについては有名すぎるので、説明の必要はないでしょう。当然、監督オリジナルではありません。1,2の劇場版LDを持ってます。
男には 旅立つ時がくる 愛する者達に 別れを告げて ・・・ 涙の分だけ逞しく 傷ついて しなやかに♪
ベルサイユのばら これについては有名すぎるので、説明の必要はないでしょう。当然、監督オリジナルではありません。また19話以降から監督しています。
LDBOXを持ってます。志垣太郎のエンディングが良かったのにいつのまにか雄叫びがなくなっちゃった。失明してしまったことをオスカルに知られまいとする、アンドレが好きです。でも第37話「熱き誓いの夜に」でオスカルの肖像画の感想をオスカルに話すアンドレは、失明がばれると思わなかったのでしょうか?もう考える余裕もないほど精神的に追い詰められていたということか。ジャルジェ将軍に別れを告げてアンドレと二人、馬を駆るオスカル。この最後のシーンで流れるBGMが好きです。テレビ版を今見ると…オスカルがフェルゼンを愛すようになった理由がよくわからない。暴徒にアンドレとオスカルが二回も襲われて生き残るのも不自然。オスカル、アンドレの二人がアラン及びB中隊隊員の信頼を得るまでが短く感じる。ディアンヌのエピソードも短い。逃げ出せるくらいならロザリーがポリニャックのもとへ行くのも変だし。個人的にはルイ・ジョゼフのエピソードを長くしてほしかった
第9話「陽は沈み陽は昇る」デュバリ(プロメシューム 一世)をいたぶる若本紀昭(若本規夫)
第33話「たそがれに弔鍾は鳴る」病死するマリーアントワネットの息子ジョゼフ(母をたずねて三千里のマルコ)
第38話「運命の扉の前で」ベルナールの仲介で平民側につく展開が甘い。そうは思わないかねサンジュスト君
第39話「あの微笑はもう還らない!」吟遊詩人の息子(星野鉄郎)が登場
ガンバの冒険 原作の『冒険者たち〜ガンバと十五匹の仲間』を読んだことがないので、わかりませんが、ほぼ全編、監督のオリジナルといっていいのでは
ないでしょうか?LDBOXを持ってます。何でもさいころで決める、イカサマが好きです。
これの総集編劇場版である「冒険者たち ガンバと7匹のなかま」や関連作品である「グリックの冒険」「ガンバとカワウソの冒険」も観てみたいです
ブラックジャック エピソードは監督のオリジナルです。大塚明夫さんの声が、ブラックジャックにぴったりです。ピノコとブラックジャックの
かけあいが好きです。劇場版とOVAシリーズのLDを持ってます。手塚眞のテレビシリーズや劇場版はあえてスルーします(^^;
ルパン三世
バイバイリバティー
危機一髪
かわいげのない少年に、顎で使われるルパンが好きです。LDを持ってます。これ以降にもルパン単発もので監督されてますが、
はっきり言って面白くないです(^^;ルパン三世テレビシリーズパート1にもたずさわっていらっしゃるそうです
おにいさまへ… 地上波ではなかったので存在を知ったのはつい最近。中古で買ったLDを見る毎日が続いている。マリ子エピソード以外はつまらない。
21話「学園祭」でのマリ子フェニズムぶりは神がかっていた。学生にコンパニオンをさせる。未成年の喫煙と飲酒。ふけた12歳。
一ノ宮蕗子「心の狭いかたも多いし」(^^;青蘭学園の始業と終業のチャイムが懐かしく感じ始めたらはまっている。

10話「マリ子…」信夫マリ子と御苑生奈々子の仲直り。奈々子が泣き出す「16歳の勇者に乾杯」
27話「マリ子刃傷事件」でマリ子の父の娘への説得。さすがポルノ小説家。
30話「署名運動」でマリ子と三咲綾の仲直り。「それじゃアンカーになれないわよ」は以心伝心過ぎる。カトレア、モナリザ、メズーサ、バンパネラ、
ボルジア。なんだこのあだ名は?
37話「夢海岸」で朝霞怜(サンジュスト)と蕗子が異母姉妹でなかったのをお互いに知っていたことを絶対に誰にも言わないといいながら
辺見武彦(おにいさま)への手紙に書く奈々子。
38,39話キャストロールで辺見武彦が神田和佳。一ノ宮貴が玄田哲章になってる。折原薫は一人暮らしをし入院しても家族も来ない孤独な生活
を送ってる

「気まぐれな妖精」
日曜にみた素敵な夢が あなたを見てほっぽっちゃて飛んでっちゃた
ほんの少しの負けず嫌いが あなたのためつっぱちゃって頑張っちゃった
恋する気持ちは 心に住んでる 妖精たちのいたずらゲームね
飛んで踊る いつも気まぐれ


●山川方夫『夏の葬列』

一作品しか読んでおらず『作家』の分類から外れるのですが書きました。国語の教科書で今でも強烈な印象がある作品です

あらすじ 太平洋戦争末期、主人公(確か「わたし」という小5だったような気が)は、とある田舎(設定があったかも知れないが忘れた)に疎開(夏休みで
親類の家に遊びに来てたのかも?)する。そこで「わたし」は1級上?の「ひろこ」という少女と仲良く野山で遊んでいた。と、草原の向こうに葬
式の列が…。「葬式に参列すると甘いおまんじゅうがもらえる」「ホント?」「行ってみようか?」等のやりとりの後、2人は争って駆け出してい
た。と、そこに「艦載機だぁ〜!」と叫ぶ声。(艦載機とは軍艦に積んだ飛行機。通常、空母搭載機なので、この頃は湾岸線近くにまで米空母が平
気で来れる程、敗戦色の濃い戦争末期だったと想像できる)一度、人々に機銃掃射をした艦載機が向きを変えて戻ってくる。「みんな、隠れろ〜!
」クモの子を散らすように草むら等に逃げ込む人々。わたしはあまりのことにあっけに取られてぼうぜんと立ち尽くす。と、「そこの女の子、立っ
ちゃダメだ!」の言葉に振り向くとひろこさんがわたしに向かって駆けてくる。「止まれ、とまれぇ。白い服は目立つぞぉ、標的にされるぞぉ」「
何してるの?早く逃げて」と飛び掛るひろこさん、迫り来る艦載機。(白い服は撃たれるんだ、ひろこさんといると僕死んじゃうんだ)「来るなぁ
〜、こっちに来るなぁ〜」「何してるの?さあ、逃げて」「来るなぁ〜、僕死んじゃう〜」ドンッ!!次の瞬間、「きゃあっ!」という声と共に目
に焼きついたのは服の白さと鮮血の赤。その後間もなく、その地からわたしは引き上げることになる。それから…年後(記憶では30年くらい後)あ
れからひろこさんはどうなったのだろう?重い気持ちと共にあの地へは足が向かなくなっていたわたしは会社の出張のおりにあの地を通り、何気な
くその駅で降りてしまう。「あれから、避けるようにしてきた地だが…」何もかも様変わりしていた、30年前とは違う景色にも見えた。懐かしい場
所に来た。するとあの日の様に葬列が…。「もしや」予感のあったわたしは葬列に近づく。そこに一緒にある写真は…「ひろこさんだ!あれから30
年経ったとすれば…」写真の中の顔は昔の年をとったとはいえ、ひろこさんの面影がはっきりと…。(そうか、俺はひろこさんを殺してはいなかっ
たんだ!あれから、兎にも角にも今日まで生きてそして死んだんだ。僕は殺していなかったんだ)今までの罪悪感から開放された私は饒舌になって
いた。葬列にいた少年に話しかける。「この人はどんな人だったの」「足悪くて引きずってたんだよ」(そうか。足の怪我はあの時のせいかも知れ
ない。でもこうして間違いなく生きていたんだ)有頂天になったわたしは調子にのり過ぎた。「で、何で死んだの?まだ若いのに…」「若い?おば
あさんだよ?」「え?だって写真はおばあさんと言うには若い…」「あぁ、それね。若いときの写真しかなかったんだって」そこで聞いたことは…
戦争で娘が米軍機に撃たれ、亡くなったこと。その母親だったこのおばあさんは、その余りの悲しさに発狂してしまったこと。何度も自殺未遂を繰
り返し、ついに死んでしまったこと…。先程までの軽い足取りとは違い、帰りは重い足取りに…。レールを見つめながら思う。(このレールのよう
に人生は続いていく。どこまで続くか解らないが、今日新たに加わった2つの死。この重さから僕は一生解放されないだろう)ことを思う。
転載 山川方夫という作家がいる。この人は数回芥川賞の最終候補にもあがっており、直木賞候補にもなる、というマルチプレイヤーなのであるが、夭逝
したため(享年35歳)結局両賞とも受賞できずに、事実上文学史から消されかけている人物である。戦後文学の専門家が『三田文学』の編集者と
して、江藤淳他を育て上げたという点で記憶に残る程度の小説家であろう。が、その一方彼の作品のひとつである「夏の葬列」は、読んだことがあ
る国民人口で、芥川の「羅生門」までいかなくとも、梶井の「檸檬」ぐらいに匹敵する、国民文学になりつつある。というのは70年半ばから現在
まで、多くの教科書の中学2年次教材として採用されているからである。そしてこの作品はしばしば児童生徒にとって「最も印象に残った教科書の
小説」になりつつある。一般的に「羅生門」はともかく、漱石の「こころ」などは中高生にはつまらないと思われるし、鴎外の「舞姫」は意味すら
わからなかったというケースもあるので、教科書以外生涯小説など読まない、という層にとって、人生で一番印象に残った作品という可能性すらあ
る。あらすじは、戦後かなりたって、主人公が久しぶりに故郷を訪れる。彼は戦時中、米軍の機銃掃射を受けたのだが、そのとき近くに年上のひろ
こさんがいた。ひろこさんは、主人公を守ろうと近づいてくるのだが、彼女は白いワンピースを着ていた。この色は目だって標的になると思った主
人公は、彼女を突き飛ばしてしまう。そこに機銃掃射。ひろこさんは血まみれになる。その後どうなったのかよくわからないが、彼女を殺してしま
ったのではないか、というのが主人公の心の重荷であった。帰郷した主人公はある葬列と出会う。その遺影を見たところ、明らかに年齢のいったひ
ろこさんであった。なんだ、つい二、三日までは彼女は生きていたのか。主人公はほっとする。あの時死んだのではないのだ。俺は人殺しではない
んだ。しかし住民と話した主人公は真実を知る。葬列の遺影は故人の若いころの写真であり、実際はおばあさんであった。そのおばあさんは戦時中
「ひろこ」という娘を失い発狂した。そのまま苦しんで生き続け、とうとう息を引き取った。ひろこさんはやはり「あの時」死んだのである・・・
・むう。一応専門家のくせに、おれはあらすじが下手だな。まあ、申し訳ないが、こういった作品である。私自身の中学時代この教材は無かった。
この作品に出会ったのは、大学の教え子の教育実習である。中学校でこのテキストを渡され、得意の速読でこの作品を読んだ私は愕然とした。ちょ
っと、全然救いが無いんですが・・・実はその通りであり、この作品は夏休み直前恒例の、「戦争って悲惨です」のコーナーに位置づけられている
。まあ夏が来れば、鵜飼や地域の夏祭り同様の年中行事として、こういう作品を読むことになっているのである。「やっぱ戦争って悲惨ですよね。
何の救いもありません」これがこの単元の結論である。しかし私はこの作品のテーマが、反戦だとは到底思えなかった。たまたま極限状況の一例と
して「戦争」が用いられているのであり、主なモチーフは主人公の自己正当化への欲望であり、その挫折ではないのか。さらに「戦争」をモチーフ
だとした場合、この作品は面白すぎるのであり、同時に細部の作り物めいた設定が気になる。戦時中に真っ白なワンピースを着た少女などありえた
のか?とか、そんなに親しいなら主人公はひろこさんの母親に会っているはずであり、写真を見た瞬間直感的に、ひろこさんではなくその母親の葬
列だということは自明ではないのか・・・など。初出を調べて全ての疑問が氷解した。この作品の初出は『ヒッチコックマガジン』であり、当時山
川は、この雑誌に毎号「親しい友人たち」シリーズとして、毎号ショートショートを連載していた。「親しい友人たち」というのはおそらくこの分
野の先駆者であるロアルド・ダールの「あなたに似た人」に由来すると思われる。当時の山川はいわゆる「文学」ではなく、通俗的なストーリーその
ものの意外性、面白さに関心を移していたのである。「夏の葬列」とは一種の知的ゲームであり、結末の落ちにこそその命がある。これを実際にあ
った出来事であるかのように、教育現場では教育している。